
|土地を持っているだけでお金持ちになれた時代
今から約40年前、1980年代後半の日本は、今ではちょっと考えられないような時代でした。
土地の価格はどんどん上がり、株価も上がる。景気も良く、日本全体に勢いがありました。
これがバブル経済です。
そもそもバブルとは何だったのか。
簡単に言うと、土地や株の値段が、本来の価値以上にどんどん上がってしまった状態です。
例えば、3,000万円で買った土地が翌年には4,000万円、その翌年には5,000万円になる。
そうなると、みんな考えることは同じです。
「今買っておけば、来年にはもっと高く売れるんじゃないか?」
買いたい人が増えれば、さらに価格が上がります。
そして、気がつけば3,000万円だった土地が1億円になっている。
もちろん例え話ですが、当時は実際に土地の価格が何倍にもなった地域がありました。
1985年から1990年にかけて、六大都市圏の地価は3倍以上になったとも言われています。
今の不動産市場では、なかなか想像できない話です。
ただ、ここで少し不思議に思いませんか?
土地の広さが変わったわけでもない。建物が新しくなったわけでもない。
それなのに価格だけが何倍にもなる。
今振り返れば不思議な話ですが、当時はそれが普通になっていたんですね。
|なぜ、そこまで土地の値段が上がったのか?
バブルが起きた理由はいくつかありますが、大きく関係していたのが銀行の融資と金利です。
1985年に「プラザ合意」という出来事がありました。
当時の日本は、自動車や電化製品を海外にたくさん輸出していましたが、このプラザ合意をきっかけに急激な円高が進みました。
円高になると、海外で日本の商品が割高になり、輸出企業には厳しい状況になります。
そこで日本は、景気を支えるために金利を下げていきました。
金利が下がれば、企業も個人も銀行からお金を借りやすくなります。
そのお金が土地や株にも流れていきました。
ここで銀行の存在が大きくなってきます。
例えば、3,000万円で買った土地が5,000万円に値上がりしたとします。
銀行からすれば、担保となる土地の価値が上がったことになります。
すると、その土地を担保に、さらにお金を借りられる場合があります。
借りたお金で別の土地を買う。
その土地も値上がりする。
そしてまた借りる。
こんな流れが広がっていったわけです。
今の感覚だと、少し怖いですよね。
でも当時は「土地の価格は下がらない」という考えが強かったようです。
株価もすごい勢いでした。
1985年末に約1万3,000円だった日経平均株価は、1989年末には約3万8,900円。
わずか4年ほどで約3倍です。
土地も株も上がり続ける。
銀行もお金を貸す。
借りたお金で、また土地を買う。
この流れが続くうちは、みんなが儲かっているように見えます。
ただ、土地の価格が上がっても、その土地自体が生み出す収益まで同じように増えるわけではありません。
ここにバブルの怖さがあったのだと思います。
|バブルはなぜ崩壊したのか?
1989年、日本銀行は金利を引き上げ始めます。
景気が過熱しすぎていたためです。
さらに1990年には、不動産向けの融資を抑える規制も始まりました。
それまで銀行からお金を借りやすかった状況が変わり始めたんです。
金利が上がれば、借りる側の負担も増えます。
銀行の融資が厳しくなれば、土地を買いたくても買えない人が増えます。
そうなると、今度は土地が売れなくなってきます。
例えば、1億円まで値上がりした土地。
少し前までは1億円でも買いたい人がいたのに、突然買い手が見つからなくなる。
9,000万円に下げても売れない。
8,000万円でも売れない。
実際の価格の下がり方は地域によって違いますが、こうしたことが起きたわけです。
そして一番大変だったのは、銀行から多額のお金を借りて土地を買っていた人たちです。
1億円を借りて買った土地が、5,000万円でしか売れなくなったらどうなるでしょう。
土地を売っても5,000万円の借金が残ります。
土地の価値が半分になっても、借金は半分にはなりません。
これは本当に怖いことです。
しかも困るのは、土地を買った人だけではありません。
お金を貸していた銀行も、貸したお金が返ってこなくなります。
銀行の経営が悪くなれば、今度は普通の企業にもお金を貸しにくくなります。
企業の業績が悪化し、給料や雇用にも影響が出る。
こうしてバブルの崩壊は、日本全体の経済に大きな影響を与えました。
株価は1990年に急落し、土地価格もその後下がっていきました。
そして日本は、長い景気低迷の時代に入っていきます。
|今の不動産市場と少し似ているところもある?
私は不動産の仕事をしているので、こうした昔の話も興味深く感じます。
もちろん、今の日本と当時のバブル経済はまったく同じではありません。
ただ、土地や建物の価格が上がっている今だからこそ、過去の歴史から学べることもあると思います。
例えば、「これからも価格が上がるから、今のうちに買っておいた方がいい」という考え方。
もちろん、実際に価格が上がることもあります。
でも、上がり続ける保証はありません。
反対に、価格が下がるのを待っていたら、その間に建築費や金利が上がってしまう可能性もあります。
不動産の購入は、本当にタイミングが難しいものです。
だからこそ、周りの情報だけで判断するのではなく、自分たちにとって、その不動産にどれだけの価値があるのかを考えることが必要だと思います。
そして、今回のバブル崩壊をきっかけに、日本は長い低金利の時代へと進んでいきました。
ところが最近、その金利が再び上がり始めています。
35年前の住宅ローン金利は5%以上。
それが1%前後まで下がり、今また上昇している。
この歴史を知ると、今の住宅ローン金利のニュースも少し違って見えてきませんか?
次回は、この住宅ローン金利の歴史について書いてみたいと思います。
Aimoku/運命の不動産